焦れ甘な恋が始まりました
困ったように笑いながら。
膝を折り、私の手を取って、まるでお伽噺の王子様がお姫様に求婚をするかのように私を見上げる下條さんに、胸が早鐘を打つように高鳴った。
「今度こそ勘違いのないように伝えると、これはお付き合いの申し込みじゃなくてプロポーズ、だから」
プロポーズ、って……
これは本当に、一体、何が起きてるの?
ステンドグラスに囲まれた美しいチャペル。
まるで中世のヨーロッパを思わせるこの場所で、私は今、一体、何を――――
「それとも……彼氏はいないけど、他に、好きな奴がいる?」
「っ、そんな人……っ」
“ そんな人、いません ” と。思わず、そこまで言いかけて言葉が止まった。
だって……今目の前にいる、この人が。
下條さんが……私の好きな人なのに。