焦れ甘な恋が始まりました
 


下條さんの言葉を遮って、叫ぶようにそう言えば、見上げた先の彼は驚いたように目を見開いた。


今、きっと下條さんは困惑してる。もしかしたら、何を今更と思っているかもしれない。


だけど、今……どうしても今、伝えたかったの。


下條さんの言葉を聞くより先に。


下條さんの気持ちの全てを聞くより先に、どうしても私は、私の言葉で彼に気持ちの全てを伝えたかった。



「本当は……っ、手が届かないから無理だなんて、ただの言い訳でしたっ。社長と一社員の関係のままでなんていたくありませんっ。他人のままでいいなんて、全部嘘……っ。私は下條さんの全部がほしいっ。心も身体も、愛し合いたい……っ!!」


「っ、」


「下條さんのことが、どうしようもなく好きなんですっ。誰かに不釣り合いだと思われても、不相応だと言われても、それでも私は下條さんが疲れた時に、誰よりもそばで心配できる相手でいたい……っ」



私はきっと、この恋だけは、諦めることなんてできないから。



「私は下條さんの、一番近くにいたいです……!」



心も身体も美しくいられる。

私の “ 美味しい恋の作り方 ” は 、いつでも自分の気持ちに素直でいることだ。


 
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