焦れ甘な恋が始まりました
上から落ちてきた、その思いもよらない言葉に弾けるように顔を上げれば、やっぱり困惑に表情を染めた下條さんと目が合った。
……もしかして、重い女だと思われた?
面倒な奴だと思われた?
だけど一瞬、そんな不安を抱いて瞳を揺らせば、すぐに下條さんの言葉に一蹴される。
「……俺は今日まで、ずっと我慢してきた」
「下條、さん……?」
「本当は、欲しくて欲しくて堪らなくて。だけど、傷付けるくらいなら……笑顔にできないくらいなら、そばにいることは迷惑でしかないと思って」
慈しむように、頬に添えられた手。
その手はとても温かく、優しさで溢れてる。
「それでも俺は、やっぱり杏のそばにいたい。俺が、絶対に幸せにするから。杏が望むなら、毎日呆れるくらいに抱き締めるし、心を注ぐ。杏が自分という人間の価値に気付くまで、いくらだって、そばで愛を伝えてみせるから。だから、杏、もう今すぐに――――」
重なる唇は、誓いのキス。
「俺に、杏の未来の……全てを、頂戴」
伝えられた言葉は、永遠を誓う、愛の言葉だった。