焦れ甘な恋が始まりました
 


「っ、」


「……ね?だから、もう、早く結婚しよ?」



言葉と同時、ぞくりと身体に走った快感。

いつの間にか服の裾から手を忍ばせた社長の指が、直に私の肌をなぞっていく。


その、弄ぶような指遣いに思わず息が上がっていって。


慌ててその手を押し止めれば、それは大した抵抗にもならずに捕まってしまった。



「し、下條さ……っ、今、仕事中です……っ」


「んー?俺は、たった今、プロポーズ休憩入ったとこ」


「プロポーズ休憩って、なんですか……!っていうか、そんなの……っ、私はまだ仕事中だし、それにココ、社長室だし……っ」


「社長室で、杏にイタズラするの、俺の夢だったんだよね」


「な……っ、」


「社長室での、イケない禁断アレコレ」



何を言ってるの、この人は……!

と。

思わず呆れて下條さんへと振り返った私は、結局彼の罠に嵌ってしまう。


 
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