焦れ甘な恋が始まりました
最後に囁かれた言葉は、食後のデザートのように甘く、私の脳裏に焼き付いた。
……ああ、本当に。
一体、何がどうなっているんだろう。
不意に伸びてきて触れた指先は、頬に貼り付いた私の髪を優しく耳に掛け、甘い熱だけを残して。
その熱から逃げることもできずに、ひたすらに目の前の綺麗な顔を見つめていれば「悪いけど、職権乱用させてもらった」……と。
酷く魅惑的に微笑んだ彼は、3年以上前―――
仕事上で交換した私の携帯番号を、彼のプライベート用らしき携帯電話に表示させると、
「これから、よろしくね、日下部さん?」
そう言いながら、今度は満足気に目の前のソファーへと腰を下ろして、再びその長い脚を組んだ。