青空の魔法
翌朝、全校集会で校長が哀悼の意を述べ、みんなで黙とうを捧げ…

大月さんの死は、なかったことになった。


『苦しいことはたくさんあるけれど、命の重みを忘れずにボクらはがんばろう』
なんて励ましてくる教師のキレイごとも、

教室に戻った笑顔も、
普段通りのおしゃべりも、

オレには違和感しか感じられなかった。


何事もなかったように再開した日常に、オレだけがついていけない。


教室で席に座っていると、目は自然と窓の外へと向かった。

飛び降りる大月さんの残像が、イヤってほどにリフレインされる。

自分の中の不安が、大月さんの絶望とシンクロしていく。

オレもいつか、彼と同じようにダイブする…。

予感に近い気持ちでそう思った。
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