青空の魔法
ガタン、と席を立ち、体調不良を告げて、教室を出る。

家に帰ると母親が驚いた顔をしたけれど、何か問われる前に自分の部屋へと滑り込んだ。


「吐きそうだから、休む」

そうして、翌朝起こしに来た母にそう告げて、オレは学校を休んだ。

次の日も、次の日も――。


母親は何か言いたげだったけれど、4日目からは、もう起こしにも来なくなり、無言で食事の用意だけを果たすようになった。


学校へ行かなくなった息子を、母はもうあきらめたんだと思う。

理由すら聞きもせずに…。
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