音の流れつく場所。
ちょっとびっくりした。
そして見えた顔はさっきと違う顔。
どことなく色気を帯びた目の力と、片方の口角だけが上げられた、強気な笑み。
「……なんなら、朝まで一緒でもええし。」
耳に届いたのはさっきまでとは違う、低めの声。
「……。」
あまりの変わりぶりに、一瞬言葉が出なかった。
じっと私を見つめて反らさない視線。
そのまま見つめられて、もう限界って時、ソウ君はふっと笑って私から離れた。
「そのワイン、飲めへんねやったらちょーだい♪」
今度はイタズラに笑って、私のグラスは奪い取られてしまった。
ソウ君が口を付けたところには、私の口紅が微かに残っている。
残りが少なかったこともあって、一気に飲み干してしまったソウ君。
「これ、美味いなぁ♪」
グラスから口を離すと、そのままグラスにチュッとキスをする。
なんだか、まるで私がキスされたような感覚になってしまう。
いや、きっとこれは酔いのせいだと思うのだけど。
うん、きっとそうだ。
そう思うしかない。
なんだか今日の私は変だ。