黒いジャージ ~先生と私~
泣きたいのは私じゃなく、お母さんだね。
娘にこんなこと言われて。
しょうが焼きが苦い。
涙の味しかしないじゃん。
部屋に入りおじいちゃんの写真を見て、さっきとは違う涙がどんどん溢れた。
本当は、喜んであげるべきだってことはわかってる。
相手の男性に、愛想良く挨拶して気に入られたらいいんだってこともわかってる。
でも、
なんかさ。
寂しい。
むなしい。
私はまだ16歳で。
生意気だけど、世間のこと何もわかってなくてさ。
大人になることが怖くて、日々不安や寂しさと戦ってて。
もし、隣に誰かがいて一緒に戦ってくれてるなら、こんな気持ちにはならない。
お母さんは、私の苦しみを知っているのに、一緒に戦ってはくれない。
私の苦しみの中に足を踏み入れてくれようとはしないし、この不安定さを遅い思春期なのだと信じようとしている。