黒いジャージ ~先生と私~
「お母さんがね、会わせたい人がいるんだって。多分、彼氏なんだと思うけど、あの言い方じゃ再婚するんじゃないかな」
先生は大きく息を吸い、空に向かって息を吐く。
「お前の親、離婚してるんだったな。それはめでたいことじゃないか、って教師なら言うべきかもしれないが、とんでもねぇ親だな」
高垣先生の反応に驚いた私は起き上がる。
「だよね?とんでもねぇバカ親でしょ?」
「ああ、娘が人生に迷って、苦しんでるってのに、再婚するなんてな」
気持ち良くて叫びたかった。
先生が同じように思ってくれていたことが嬉しい。
「お母さん最近機嫌いいな~って思ってたら、そういうことがあったんだなってなんかショックで」
「お母さんの目線が、お前の方を向いてない。だから、お前は祝福できないんじゃないか?」
高垣先生は真っ直ぐに空を見つめたまま、静かに言った。
その通りだった。
私を見てくれてないから。
だから、嫌なんだ。