黒いジャージ ~先生と私~
「俺の会いたい人って、母親なんだ。でも、お前のおじいちゃんと同じ場所にいる」
「死んじゃったの?」
先生は静かに頷いて、空を見た。
「会いたい時は、空を見る。空に向かって謝る。誰よりも俺を愛してくれたのに、俺は素直になれなかった」
少し微笑むような表情で話している先生を見ていると、泣いて泣いて涙はもう枯れたんだなと思った。
どれくらい自分を責めただろう。
「でも、お母さんだから、わかってくれてると思うよ」
「そうかな。それなら嬉しいけど」
「先生、お母さんに会いたいんだね」
先生のお母さんは、今の先生を見てるかな?
素敵な教師になった先生を見てくれてる?
「ありがとう。なんでお前に話したのかわからないけど、今まで誰にも話したことはなかった。お前のお母さんは、会いたい時に会える。後悔して欲しくないんだ」