黒いジャージ ~先生と私~
朝食のトーストを手に持ったまま、動かないお母さん。
「ごめんね。ここね。寂しい想いをさせてること、わかってる」
「お母さんが家にいないことが寂しいと思ってる?そうじゃない。お母さんが私のことを見てないから寂しい。お母さんは、外を見てる」
お母さんの脳内は、昔から仕事のことや彼氏のこと、世間のこと。
私じゃない。
「あなたのこと、心配してる。何考えてるんだろうって私も思ってた」
「それなら、聞いてくれたらいいじゃん。聞かれないと言えないよ!」
似たもの同士だから。
お母さんだって、傷付きたくないよね。
「あのね、私高校嫌いだったの。でも、すごくいい先生に出会えたんだ。その先生に言われたんだ。ちゃんとぶつかれって。だから、怖いけど言いたい事言おうって思った」
先生がくれた勇気。
先生は傷付くことを恐れない。
私も、先生みたいに強くなりたい。