【短編集】とびっきり、甘いのを。
「先輩ってさ、部長のこと好きでしょ」
ある日の放課後。
校則違反の明るい茶色の髪の後輩が、私を見つめてそう言った。
「…何、言って」
「当たりだろ」
教室の椅子に座ったまま、横に立つ私を見上げる彼の目が鋭くて、思わず顔を背ける。
彼は三浦 圭。
サッカー部の1年生で、生意気で、サボリ魔で、そのくせサッカーはずば抜けて上手い問題児だ。
2年生のマネージャーである私になぜか敬語は使わないし、しかもいつも私が教室まで迎えに来てグランドまで引っ張っていかないと部活に来ない。
どうしてこんなに手がかかるんだろう。
高校生にもなって子供みたいだ。