【短編集】とびっきり、甘いのを。
「…から」
「え?」
「……重い荷物運んでたの、手伝ってくれたから」
私の答えに、三浦は「は?」と聞き返して眉をひそめた。
信じられない、意味がわからない、って顔に書いてある。
「そんなことで好きになんの?」
仕方ないじゃない。
あの時私はまだ1年生で、マネージャーになりたてで、右も左もわからなくて。
混乱している時に「女の子じゃそれ持つの大変でしょ」って言って、ドリンクの入ったボトルをいくつか持ってくれた。
中学生までの子供みたいな男子とは違って、大人の男の人って感じがした。
まだ驚きの目で私を見ている三浦は、ちょろい女だって思っているんだろう。
「私は三浦と違ってモテないから免疫もないの!」