【短編集】とびっきり、甘いのを。
仕方なく先に1人で部活に向かう。
いつもは三浦を連れてくるために時間がかかっているから、この早い時間に部室に行くのは久しぶりだ。
先輩たちもまだアップを始めていないだろう。
「……え?」
部室に行くと、知らない女の子がいた。
長い髪をくるくる巻いて、小柄で、白のカーディガンがよく似合う可愛い女の子。
が、佐藤部長と楽しそうにしゃべっている。
時々肩を叩いたりしながら、楽しそうに。
「あれ、マネージャー今日早いね。三浦は?」
「…佐藤部長、って」
「え……ああ、あれ?
そっか。いつも三浦連れてから来るから見たことないのか。佐藤の彼女だよ。よく部活始まるまで喋りに来てる」
「……そう、なんですね」
そうなんだ。
彼女、いたんだ。
しかもすごく可愛い子。
三浦を迎えに行ってから来てたから、全然気づかなかったなぁ。