【短編集】とびっきり、甘いのを。
「あげる」
彼は手に持っていたペットボトルを私にくれる。
レモンソーダのペットボトルを開けたら、プシュッと音がして、炭酸が少し溢れた。
「っ、わ」
「あー、ごめん。走ったから」
中で泡立った炭酸が溢れたらしい。
悪びれた様子もなく、濡れた私の手を可笑しそうに笑って見ている三浦。
優しいのか意地悪なのかわからない。
「……知ってたの?佐藤部長の、彼女」
「あー、まあ」
だから、いつも、私がそれを見ないように、迎えに来させていたの?
私が、傷付かないように?
……なんで、そんなこと。