【短編集】とびっきり、甘いのを。
「先輩さ、俺と付き合おうよ」
「…」
「俺、先輩のためなら結構優しいよ」
「……っ、でも」
「…まあ、今すぐじゃなくてもいいけど」
眉を下げて、仕方ないなって顔で笑って。
いつになく大人な彼の横に、浅く座る。
「……私が彼女と部長を見ないように、いつも遅れて部活に行くようにしてたの?」
彼は、目を細めて。
「…俺が先輩にかまって欲しかっただけだよ」
そんなこと言うの、ずるい。
生意気なくせに、ワガママなくせに、問題児なくせに。
そんなこと言われたら、私……。