【短編集】とびっきり、甘いのを。
「莉緒ちゃん、好き」
こんな時に、名前で呼ぶなんてずるい。
全て見透かしたみたいな目で、見つめるなんてずるい。
きみがこんなに格好いいなんて、聞いてない。
「っ、ばか…」
だって先輩に失恋した悲しさよりも、きみへのドキドキの方が大きくて。
私の脳内のほとんどを占めるのは、今は生意気な問題児のことで。
レモンソーダをひとくち飲んだら、レモンの酸味と炭酸がじゅわりと口に広がった。