【短編集】とびっきり、甘いのを。
朝の電車の楽しみ。
会えたらラッキー。
2人で過ごす時間は甘くて、幸せで、そしてちょっとだけ苦い。
そう、まるでー…。
「チョコレート」
「え?」
「食べる?」
バッグから小分けに包まれたチョコレートを出す絢斗先輩は、今日も通常運転だ。
チョコレートが大好きで、バッグに常備している。
キャンディみたいに包まれたそれを開けて、口に入れた。
甘く、甘く、溶け出すチョコレートは、冬になると特に美味しく感じるのはどうしてだろう。
「最近、チョコレート見ると絢斗先輩思い出します」
「はは、本当?」
その笑顔が、好き。
笑うと細くなる、少したれた目が、大好き。