【短編集】とびっきり、甘いのを。
絢斗先輩は、試験に合格したら来年は大学生で。
3ヶ月後にはもう、この学校に通うこともなくて。
2人で電車に乗って、学校まで隣を歩いて。
こんな幸せな時間も、あと3ヶ月。
……学校、着かなければいいのに。
もっともっと、遠ければいいのに。
私も、3年生だったら良かったのに。
頭のいい絢斗先輩は、きっと私には到底手の届かないような大学に行く。
私のことなんてすぐ、忘れてしまうのかもしれない。
格好良くて、優しくて。
人気者の絢斗先輩だから。
毎朝会って、他愛もない話をし他だけの後輩のことなんて、きっと大した存在じゃない。