【短編集】とびっきり、甘いのを。
…ねえ、3ヶ月後には私たち、他人になってしまうんですか?
もう話すことも、会うことすらなくなってしまうんですか?
そんな怖いこと、考えたくもないです。
だけど、こんな日常も、本当は奇跡みたいに大切なもので。
触れたら壊れて、消えてしまいそうな宝物で。
学校について、先輩と別れて、その背中を振り返るのは私だけ。
紺色のコートに寒そうに身をすくめるその背中に、好き、って口だけ動かした。
絢斗先輩は、振り返らない。