【短編集】とびっきり、甘いのを。



…ねえ、3ヶ月後には私たち、他人になってしまうんですか?


もう話すことも、会うことすらなくなってしまうんですか?


そんな怖いこと、考えたくもないです。





だけど、こんな日常も、本当は奇跡みたいに大切なもので。

触れたら壊れて、消えてしまいそうな宝物で。





学校について、先輩と別れて、その背中を振り返るのは私だけ。



紺色のコートに寒そうに身をすくめるその背中に、好き、って口だけ動かした。



絢斗先輩は、振り返らない。







< 21 / 141 >

この作品をシェア

pagetop