【短編集】とびっきり、甘いのを。



口の中にあったはずのチョコレートはいつの間にか溶けて、なくなって。


甘さと、苦み。

幸せな時間と、切なさの余韻だけがいつまでも残って、私を支配する。




チョコレートを見るたび、絢斗先輩を思い出して。

チョコレートを食べるたび、近付く“終わり”に泣きそうになって。



この支配から逃れる方法を、私は知らない。



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