【短編集】とびっきり、甘いのを。
「どうかした?」
考え込んでいた私の顔を、心配そうに覗き込む絢斗先輩。
「…溶けないチョコレートが、あればいいのに」
「え?」
「あはは、ないですよね、そんなの…」
なんだか泣きそうになって、パッと下を向く。
「なに、そんなにチョコレート好きだったっけ?」
はは、と笑う絢斗先輩。
うん、好き。
すごく好き、大好き。
初めて会った時より、昨日より、ずっと。
タイムリミットが、こんなにも怖くなるくらいに。