【短編集】とびっきり、甘いのを。
胸がきゅっと締め付けて。
泣きそうなくらい切なくて。
もう、溢れてしまう。
「絢斗先輩っ……」
涙目の私に、一瞬驚いた絢斗先輩。
もう、全部なんです。
全部好きなんです。
甘さも苦味も、幸せも切なさも、
貴方がくれる全部。
「あの、私……」
零れそうになったその言葉を絢斗先輩が止めた。
唇に当てられた人差し指。
冷たいそれに、ドキッと心臓が音を立てる。
「俺、絶対合格するから」
「へ……」
「だからさ、」