【短編集】とびっきり、甘いのを。



「あの、黒澤くん、」




壁に追い詰めたせいで密着した身体にまた頬を染めながら、必死に目を逸らす。





「…陽奈がキスしたら、解放してあげる」






耳元でそう囁けば、ビクッと肩を揺らす。




「っ…意地悪、」






…そうそう、その顔。


真っ赤な頬に涙目、睨みつけたつもりの上目遣い。


この顔が見たくて、いつも意地悪ばかりしてしまう。





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