【短編集】とびっきり、甘いのを。




二年生になってすぐの席替え、俺は陽奈の後ろの席になった。


目の前のふわふわの髪に触れたくなったのは、出来心。

ふわふわの猫っ毛を指に絡めると、シャンプーの匂いが鼻をくすぐった。



「ひゃっ!?」




驚いた声をあげて、真っ赤な顔で振り返ったその表情が。

可愛くて、もっと見たくて。



毎回、後ろの席から髪を触るたび、


「やっ…」なんて、俺のいたずら心をくすぐる反応をしてくれるから、このイタズラがやめられない。




きっと、嫌われていたと思う。

つーか、怖がられてたと思う。


俺は髪色が明るいせいで第一印象は怖そうだった、なんでよく言われるし。

そんな奴に絡まれたら、陽奈みたいな大人しい女は怖がるのも無理ない。





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