【短編集】とびっきり、甘いのを。
「じゃあ、ペア決めるくじ引いてー!
人数の問題で、1人だけハズレ引いた人には1人で行ってもらいますー!」
主催者の言葉に、えー、と怖がるみんなの声。
1人で肝試しってつまんなすぎじゃね?なんて思いながら回ってきたくじを引く。
3番か。
少し遠くにいる陽奈をチラリと見ると、泣きそうな顔。
驚いて手元を見ると、ハズレと書かれたくじ。
まじか、運なさすぎだろ。
あいつ、肝試しとか苦手そうだよな…。
「じゃあペア作って!
あ、ハズレ引いたの誰ー?」
「…は、」
渋々手を上げようとした陽奈の手から、ハズレくじを奪う。
「え…」
その陽奈の手に俺の引いた3番のくじを持たせて、
「はーい、俺!」
と手を挙げる。
「尚か!良かった良かった、恐がりじゃない人で!」
「俺女子と回りたかったんだけどー」
「はは、残念だな!」