【短編集】とびっきり、甘いのを。
「ほんっと失礼、何なのアイツ」
「もう…ふたりとも素直になりなさいよね」
呆れ顔の友達に、「素直に嫌いって言ってるし」なんて意地を張る。
そんな嘘すら、みんなにはお見通しだろうけど。
陽介は、中学の時からの友達で。
中学まではただの悪ガキだったくせに、高校に入って、背も伸びて、髪なんか染めて。
急に色気付いて、モテ始めちゃって。
私の方が前から好きだったのに、なんて思ったって、そんなことに順番なんか関係なくて。
積み重ねてきた時間は、私をどんどんあまのじゃくにした。