【短編集】とびっきり、甘いのを。





「ほんっと失礼、何なのアイツ」


「もう…ふたりとも素直になりなさいよね」



呆れ顔の友達に、「素直に嫌いって言ってるし」なんて意地を張る。

そんな嘘すら、みんなにはお見通しだろうけど。




陽介は、中学の時からの友達で。

中学まではただの悪ガキだったくせに、高校に入って、背も伸びて、髪なんか染めて。

急に色気付いて、モテ始めちゃって。




私の方が前から好きだったのに、なんて思ったって、そんなことに順番なんか関係なくて。



積み重ねてきた時間は、私をどんどんあまのじゃくにした。







< 6 / 141 >

この作品をシェア

pagetop