【短編集】とびっきり、甘いのを。
「連絡できなくてごめん。
さっきの女の人は本当に書類取りに来ただけの同僚」
「うん、分かってる…
でも、それでも嫌だって思っちゃう自分が子どもで嫌なの…!」
と、ふわりと解放された身体。
恭ちゃんの真剣な瞳に、久しぶりに見たその顔に。
きゅんと胸が締め付ける。
「俺は、そういう苺が好きだよ。
…だから、そんなこと気にしないで寂しいって言って」
「でも…」
まだ俯いている私に、少し困った顔をする恭ちゃん。
「つーか、俺の方が子どもだと思うけど」
「え?」
「……拓巳と一緒に来たの、妬いた」
恭ちゃん……?
「あからさまにイラついてたし、拓巳も気付いてんだろうなー…」
「や、ヤキモチ妬いたの…?」
「…当たり前でしょ」
そう言って、優しく触れた唇。
そのまま角度を変えて、深いそれに変わっていく。