【短編集】とびっきり、甘いのを。




「なんか、久しぶりだな」


「うん。日焼けしたね、廣祐」


「お前は全然焼けてねーな。
引きこもってんじゃねえの?」



「日焼け止め塗ってるんですー」


からかうように笑う廣祐の方を軽く叩く。


懐かしい、この感じ。
やっぱり好きなこの空気。




「私服着てるの、初めて見たわ」



そう言って私の方を見る廣祐に、泣きたくなる。


仲良いとはいえ、休日に遊ぶほどは仲良くなれてない私たちだから。


廣祐の私服を見たこともなければ、廣祐に私服を見せたこともなくて。





「違うの!これは違うの!

いつもこんなの着てるわけじゃないの、コンビニだから油断してて……!」




慌てて言い訳を繰り返す私に、くくっと笑う。




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