【短編集】とびっきり、甘いのを。
「…おい、桜」
呼びかけても返事がないので、仕方なく起こすのを諦めて床に座る。と。
「…悠く…ん」
突然呼ばれた名前。
反射的に振り返るけれど、そこには眠ったままの桜。
……寝言、とか。
「…勘弁して」
こんなの、手を出すなっていう方が難しい。
伸ばしかけた手を、俺の理性が止めた。
気を落ち着けるためにさっき買ってきた炭酸ジュースを飲むけど、そんなことでおさまるわけもなく。