好きの代わりにサヨナラを《完》
第一章
真っ白なセーラー服の衣装に袖を通す。
学校の制服みたいだけど、本物の制服じゃない。

プロのヘアメイクさんに化粧してもらって、衣装を着たあたしは昨日までと別人みたいだった。

鏡に映る自分はまるでアイドルみたい。
アイドルみたいじゃなくて、今日から本物のアイドルになる。



今までのあたしとは違う。
みんなを笑顔にして、愛されるアイドルになってみせる。

過去の自分とはサヨナラしたい。
もう暗くてうつむいてばかりのあたしじゃない。

鏡に映るアイドルらしい自分に、あたしは微笑みかけた。



もうすぐデビュー曲の初お披露目と初めての握手会が始まる。

あたしはまだ打ち解けられていない他のメンバーに続いて会場に向かった。
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