好きの代わりにサヨナラを《完》
四枚目のシングルは、どうして自分がセンターに選ばれたのかわからなくなってしまった。

さすがにセンターは下ろされると思ったけど、なぜかまたセンターに選ばれてしまった。

あたしは、もうその場所に立ちたくなかった。



ジャケットの集合写真の撮影が始まる。

最後列から順番にメンバーが並んでいく。

あたしはみんなが並び終えた最後に、最前列の真ん中に立った。

後ろに立つメンバーの視線が、あたしの背中に突き刺さるような感じがした。



こういう時に限って、明るく前向きな曲だった。

「笑顔でお願いします」

あたしはもう上手に笑顔を作ることができなくなってしまった。

「ほのかちゃん、もっと笑顔で……」

アイドルらしい笑顔をカメラに向けるメンバーに囲まれて、あたしだけひきつった顔をしていた。

「ほのかちゃん、もう少し頑張って」

あたしのせいで何度も撮り直される。



「センターなんだから、ちゃんとやりなよ」

最後列の端に立つ瑠菜が、怒鳴り声を上げる。

もう一度、シャッターが切られる。

可愛い笑顔を作るメンバーの真ん中で、あたしは小さくなってうつむいた。
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