好きの代わりにサヨナラを《完》

「初スキャンダルおめでとう」

週刊誌が置かれたままの自分の席に座れなくて突っ立っているあたしを見て、恭平はニヤリと笑った。



「それ、貸して」

恭平は、あたしの机の上の雑誌を勝手に持っていった。

邪魔なものがやっとなくなった。

あたしは鞄を下ろして、ガタンと自分の席に座る。



「へぇー、おとなしそうな顔して意外とやるね」

あたしは、恭平の声が聞こえないふりをして座っていた。

恭平が開いた週刊誌を横目で盗み見る。



一般人の蒼の目元は黒い線で隠されているけど、二人が手をつないでいる様子ははっきり見える。

あたしと蒼は男女の関係ではないと説明したら、どれくらいの人が信じてくれるだろうか。

白黒写真の中のあたしは、すごく幸せそうな顔をしていた。