好きの代わりにサヨナラを《完》
「ほのか、あのね……」

いつもは下ろしている髪を一つに束ねた美憂が、あたしの前でしゃがみこむ。



「あたし、一ノ瀬恭平に誘われちゃった」

「えっ……?」

「今度、二人で一緒に遊ぼうって」

言ってる意味がわからない。

一ノ瀬恭平は、瑠菜と付き合ってるんじゃないの?
どうして美憂にまで声かけるの?

ただの遊びってこと……?



「……行かないほうがいいと思うよ」

「でも、事務所の先輩だし」

「実はね……」

あたしはまだ芽依と話している瑠菜の姿を確認してから、美憂にそっと耳打ちした。
< 11 / 204 >

この作品をシェア

pagetop