好きの代わりにサヨナラを《完》
生誕祭が終わるとすぐ個別の握手会が始まる。

デビューしたばかりの頃はまだお客さんが少なくてオープンな場所でメンバー全員と順番に握手する形だったけど、ファンが増えた今では各メンバーが一人ずつレーンに分かれてお客さんと一対一で握手する形式になっている。

周囲から見えないように白いついたてで仕切られた個別のブースに、あたしはセーラー服の衣装を着て入った。

あたしの前には、細長いテーブルが一つだけ置いてある。

各メンバーのブースには剥がしのスタッフが一人ついているけど、あたしのブースには一番体格がよくてコワモテのスタッフが入った。



今日の握手会は、かなり荒れることが予想されていた。

ついに握手会が始まる。

最初のお客さんが入ってくる時、あたしは緊張で手が震えてしまった。
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