好きの代わりにサヨナラを《完》
「……嘘でしょ?」

昨日瑠菜と恭平がキスしていたことを聞いた美憂が、驚いて声を上げる。



「嘘じゃないよ」

昨日見た一ノ瀬恭平の鋭い瞳が忘れられない。
できれば、もう二度と会いたくないと思った。



ダンスレッスンが終わると、あたしは一人でスタジオを出た。

事務所の人に相談したほうがいいんだろうか。

でも、そんなことをしたらあたしはもっと瑠菜に嫌われる。



更衣室の前には、背の高い金髪の男が立っている。
その後ろ姿を見ただけで、誰だかわかるオーラがある。

一ノ瀬恭平……
あたしは彼に気づかれるのが嫌で、廊下で立ち止まった。
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