好きの代わりにサヨナラを《完》
それに続いて、テレビに初出演した日の映像が流れる。

今と同じセーラー服の衣装で踊るあたしたち。

まだアイドルらしいしぐさが板についてなくてぎこちないけれど、初々しくてみんな一生懸命頑張ってる感じがした。



そして、二枚目のシングル曲を歌うあたしたち。

映画に出演して応援してくれるファンも増えて自信がついてきたのか、センターで堂々と踊るあたしがいた。

ステージに立つこの瞬間が楽しくて仕方がない。

アイドルになれて本当に嬉しい。

あたしは幸せいっぱいの笑顔で歌っていた。

今のあたしは、こんなにキラキラした笑顔で歌えない。

希望に満ちていた頃の映像を観るのが、あたしは辛かった。



映像が終わると、あたしたちのステージが始まる。

ヘッドセットマイクをつけて、あたしはステージへと歩き出した。
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