好きの代わりにサヨナラを《完》
どっちがよかったのかなんてわからない。

もしあの日に戻れたら、あたしはまたアイドルになることを選ぶのかわからない。



今のあたしは、もう普通の女の子に戻ってしまいたかった。

だけど、今更誰にも知られていない元の自分には戻れない。

かといって、センターで笑顔で踊り続ける自分にもなれない。



あたしは、前にも後ろにも進めなくなってしまった。

何も考えずに蒼の胸に飛び込んでしまいたい。

あたしは叶わぬ願いを抱きながら、ギィと鈍い音を立てて動くブランコに揺られていた。
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