好きの代わりにサヨナラを《完》

キスシーン

「ほのかちゃん、ほのかちゃん！」

学校が終わって、いつも通りレッスンのため事務所のスタジオに向かったあたし。

学校の制服を着たままスタジオの廊下を歩くあたしの姿を見つけると、マネージャーが急いで走ってきた。

まだ若手の男性なのによっぽど仕事が大変なのか、いつも微妙に目が死んでいてくたびれたスーツ姿で歩いているけど、今日は珍しく生き生きとしてて、テンションが高い。



「おめでとう！映画決まったよ」

「映画……？」

「一ノ瀬恭平の相手役……ほのかちゃんヒロインだよ！」

マネージャーが興奮しすぎていて、言ってる意味がよくわからない。

もっとちゃんと説明してくれないと何の話なのか、あたしにはさっぱり理解できなかった。



「どういうことですか？」

「だから……ほのかちゃん映画デビューするの！
初出演でヒロイン。しかも、あの一ノ瀬恭平の恋人役」