好きの代わりにサヨナラを《完》
ドアが開く音に、莉緒が振り返る。

後ろからは普通に立ち話しているようにしか見えなかったけど、莉緒の瞳からは涙がこぼれていた。

教室に入っていいのかわからなくて入り口で立ち尽くすあたしの隣を、莉緒は涙隠すようにうつむいて走り抜けて行ってしまった。

教室に取り残された恭平は、少し乱暴に音を立てて自分の席に座る。



教室には入りたくない雰囲気だけど、あたしの鞄はまだ机に置いたままだ。

あたしは気配を殺して自分の席へ歩いていく。

音を立てないように、鞄を肩にかける。

恭平は、頭を抱えてうつむいていた。



「何があったの……?」

恭平はまだ何か考えこんでる感じだったけど、隣の席からのぞきこむあたしに視線を向けた。
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