好きの代わりにサヨナラを《完》
「……待ってください!」

あたしに台本を渡すと、足早に去ろうとしたマネージャーを呼び止める。



「できません」

「なんで?」

「あたし、女優志望じゃないです」

「知ってるよ」

「演技なんかやったことないし」

「最初はみんな初めてだよ」

「どう頑張っても無理です」

マネージャーは、少し怒ってるような顔になってきた。



「……できないんじゃなくて、やりたくないってこと?」

「それは……」

あたしは本音を言い当てられて、言い返せなくなってしまった。
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