好きの代わりにサヨナラを《完》
「だけど……何人も女の子に手を出して何が楽しいの?それだって、誰も幸せになれないでしょ?」

「そうすりゃ、俺のファンが莉緒だけ叩くことはないだろ……あいつらムカつくんだよ。少しファンサービスしたら、すぐ調子に乗りやがって」

あたしの顔は見ずにそう言うと、恭平は自分の鞄を手荒に持ち上げた。



「待って、恭平……」

教室を出ようと歩き出した恭平の背中を追いかける。



「莉緒のこと、大切に思うんだったら、ちゃんと彼女と向き合ってあげて」

「うるせぇよ……」

恭平は、教室のドアをガラっと開けた。



「あたしは……もう逃げないよ」

恭平はあたしに背中を向けたまま振り返ってくれなかった。

あたしの言葉をちゃんと聞いてくれたのかわからない。

あたしの話が終わると、廊下を歩いて行ってしまった。
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