好きの代わりにサヨナラを《完》
次の日も補習があった。

あたしの隣の席に座る恭平の胸元には、莉緒とおそろいのリングが光っていた。

莉緒が気づいているかわからないけど、あたしはすごく嬉しかった。

補習が終わると、あたしは荷物をまとめて真っ先に教室を出る。

この二人の空間にあたしがいると邪魔になってしまう気がした。



あたしは一人、鞄を肩にかけて校舎の屋上に上がる。

誰もいない屋上を歩いて、フェンスぎりぎりまで進んだ。

フェンスに手をかけ、グラウンドで部活の練習をしている生徒を見下ろす。

午後からリハーサルがあるからそんなにのんびりしてられないけど、あたしは少し風にあたりたい気分だった。



今度は、あたしがちゃんと彼と向き合わなければいけない。

あたしは制服のポケットから、一枚のメモ用紙を取り出した。
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