好きの代わりにサヨナラを《完》
「あのね……誰にでも簡単に回ってくる仕事じゃない。
新人アイドルに選ぶ権利あると思ってる?」

マネージャーが本気で怒りそうになってきたから、口答えせずうつむくあたし。



「みんなやりたがってるんだよ。これはチャンスだ」

チャンスだなんて思えない。
あたしは一ノ瀬恭平が怖くて仕方なかった。

「恭平が指名したんだよ……ほのかとやりたいって」

いつもは『ほのかちゃん』と呼んでくれるマネージャーだけど、お説教の時はいつも呼び捨てになる。

どうやら、かなり怒っているらしい。



「でも……」

「これ、しっかり読んできて。ほのかにピッタリだから」

あたしは台本をぐっと握りしめ、うなずくしかなかった。
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