好きの代わりにサヨナラを《完》
女子高生二人組があたしを指差して何か言っている。

これはマズい。

自分はデビューしたばかりの新人アイドルで全然有名じゃないと思っていたけど、さっき観ていた映画に出ていた人物が目の前を歩いていたら気づかないはずがない。



女子高生の一人がスマホを取り出し、カメラをあたしのほうに向ける。

あたしは、とっさに蒼から離れた。



「ごめんね、蒼……」

一度だけ振り返って彼にそう言うと、あたしは蒼を残して走り去った。
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