好きの代わりにサヨナラを《完》
ギリギリまで蒼と一緒にいるつもりだったけど、もう駅に戻ってきてしまった。



一人でぼーっとしていても仕方ない。

改札前の電光掲示板を見上げる。

東京行きの新幹線の発車時刻まであと十分くらいだ。
予定よりずいぶん早いけど、次の新幹線で東京に帰ろう。

あたしが走り去った時、蒼は何か言いたそうな顔をしていた。

なんだか申し訳なくなって、スマホを取り出し蒼にメッセージを送る。



『さっきはごめん。次の新幹線で東京に帰る。また今度ゆっくり話そうね』と手短に入力した。

また今度って言ったけど、次はいつ会えるんだろう。
久しぶりに会えたのに、ゆっくり話せなかった。

あたしは少し肩を落として荷物を抱え、新幹線のホームに向かった。
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