好きの代わりにサヨナラを《完》
「はい……」

テレビではよく見ていたけど、こんなに近くで彼女を見るのは初めてだ。

まさか声をかけられると思ってなくて驚くあたしに、莉緒は友達と話すようなノリで普通に話し続ける。

「もしかして、ハブられてんの?」

急にそんなこと聞かれると思ってなかった。

本当のことを答える訳にいかなくて固まるあたしを気にせずに、莉緒はサバサバ突っ込んでくる。



「めっちゃ暗い顔でスマホいじってたからさ……
よかったら、連絡先交換しない?」

「……いいんですか?」

両手でスマホを握りしめて恐る恐る見上げるあたしに、莉緒はニッコリ微笑んだ。



「あたしと友達になってよ」

あたしはビックリし過ぎて笑顔を作る余裕もなく、ものすごく真面目な顔でうなずいた。
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