好きの代わりにサヨナラを《完》
「まぁ、センターの子がみんな通る道じゃん」

そう言うと、莉緒はまたパクパクアイスを食べ始める。

あたしはまた一口アイスを口に運ぶと、カップをテーブルの上に置いた。



「莉緒が同じクラスでよかったよ。クラスの女子に嫌われてる気がするし、あたしの隣の席は恭平だし」

「恭平となんかあったの?」

莉緒がアイスを運んでいた手を止める。



「別に……何もないよ」

恭平とキスしたのは映画の中のことだ。
プライベートでは特に何もない。

あたしは小さく首を振った。

「恭平、昔はあんなじゃなかったんだよ……」

恭平と莉緒も、あたしと同じ事務所だった。
莉緒は昔の恭平を知ってるんだろうか。

莉緒は少し悲しげな顔で目を伏せた。
< 68 / 204 >

この作品をシェア

pagetop