好きの代わりにサヨナラを《完》
「そんなの知ってるよ……」
美憂は不満げな顔で、持っていたネクタイを二つとも元の場所に戻しに行ってしまった。
あたしは仕方なく、美憂についていく。
「恋愛禁止って言うけどさ……アイドルは人を好きになっちゃいけないの?」
ネクタイを元の場所に戻すと、美憂はうつむいたままそう言った。
少し悲しそうな彼女の声に、あたしは何も答えることができなかった。
あたしが無言で突っ立っているうちに、美憂は別のネクタイを手に取って店員さんの所に行ってしまった。
一人取り残されたあたしの鞄で、小さなウサギが揺れている。
蒼はCDくれたお返しって言ってたけど、CDなんて販促品みたいなものでちゃんと自分で選んで買ったものじゃない。
そう言えば、もうすぐ蒼の誕生日だっけ……
蒼の両親は共働きで、彼は小さい頃から鍵っ子だった。
目の前に置かれたキーホルダーを見ていたら、ふと蒼の顔を思い出してしまった。
美憂は不満げな顔で、持っていたネクタイを二つとも元の場所に戻しに行ってしまった。
あたしは仕方なく、美憂についていく。
「恋愛禁止って言うけどさ……アイドルは人を好きになっちゃいけないの?」
ネクタイを元の場所に戻すと、美憂はうつむいたままそう言った。
少し悲しそうな彼女の声に、あたしは何も答えることができなかった。
あたしが無言で突っ立っているうちに、美憂は別のネクタイを手に取って店員さんの所に行ってしまった。
一人取り残されたあたしの鞄で、小さなウサギが揺れている。
蒼はCDくれたお返しって言ってたけど、CDなんて販促品みたいなものでちゃんと自分で選んで買ったものじゃない。
そう言えば、もうすぐ蒼の誕生日だっけ……
蒼の両親は共働きで、彼は小さい頃から鍵っ子だった。
目の前に置かれたキーホルダーを見ていたら、ふと蒼の顔を思い出してしまった。